2010年 01月 05日
スペイン、ガリシア地方のチーズ、サン・シモン SAN SIMON DA COSTA |
San Simon DOP
サン・シモン・ダ・コスタ
スペイン、ガリシア地方 / 牛乳製、スモーク / 最低2ヶ月熟成
数年前のチーズ教室のテーマ「チーズで巡る巡礼の旅」の時に楽しんだチーズ。
年始そうそうこのチーズのことを思い出すことがあったのでそのときのブログを読み返してみた。
再読していて思い出した。準備しているその時間が楽しかったこと♪
近い将来、準備しているその時間が楽しいと思えるチーズ教室をまたやれるといいな・・・。
もちろん!みんなにも楽しいようなかたちで・・・♪
そうそう、なぜこのチーズを思い出したかというと・・・
12月中旬、年末年始と何度も放映された『サンティアゴ青春巡礼~高校生・9日間250kmを歩く~』を見て、フォーカスされた高校生たちに心を揺さぶられちゃったからです。
始めは巡礼中に立ち寄る土地やその土地に建つ教会や大聖堂などに興味があって、ながら見していたのだけど、お正月に再度放映されたとき、なんとなしに聞こえてきた歌声がふと耳に留まって字幕を読んでみました。
♪♪机の中にはラブレター以外の手紙ばかり
・・・・・・・・・・(思い出せないけど、やっぱり思い通りにはいかないことが歌詞に)
君はガラスの向こう側から見ているだけで満足しているんだ
何かあったら僕を呼んで、でも僕が誰だかは聞かないで~♪♪
それから惹きこまれてしまい最後まで見ることになりました。
み~んなが日常の中でひとりでなんらかの悩みを抱えてて・・・、
それが自分の中でもはっきりとした声にならないままで毎日を過ごしている。
高校生の時の私もそうだったなぁ~、いや、いまだにそうかもしれない・・・なんて思うと、人事に思えなくなってしまって・・・笑。
*****
苦労しているお母さんを思って最後まで歩くんだという、友達が出来ない寂しさを隠すために尖がらせてしまってるオタクなアンヘリカ。
歩いているうちに、ファンという男の子との間に友情が芽生える。
そしてホセ先生の「誰も君を嫌っていない。あの子が嫌い、ダメダとか言わないで・・・」って言葉に素直に耳を傾けるようになっていた。
少しだけ大人になった彼女が巡礼の終わりにこう言った。
「ママがここにいなくても寂しくなかった。遠くにいてもこころが通じているとわかったから。」
別れた彼を一途に思うテレサ。
彼女の望みは彼、アントニオと昔のような仲睦まじい恋人同士にもどること。
転校生に優しくするアントニオに敏感に反応して、自分をどうしたらいいのかわからない。明日で巡礼最後という日、このままではいけないとアントニオを呼び出して自分の正直な気持ちを伝える。そしてアントニオの正直な心の内を聞かせてほしいと願う。
結局振られることになったけど、最後のインタビューでこう言った。
「最後まで歩いた自分をほめたい・・・。日常とは違う特別な道。大切な人と一緒に歩けてよかった。」
テレサとこの巡礼で初めてたくさんの話をして親友となったマリア。
彼女は巡礼に参加する直前に彼に別れを告げられた。
テレサのアントニオへの気持ちを聞いてあげながら自分の失恋を癒すために歩く、歩く、歩く。
巡礼を終えた翌日、海岸でテレサに言った。
「来年もここに来ない?新しい彼とさ!そしてここでたくさんキスをするんだ!」
マリアと一緒に、アントニオとテレサの恋の行く末を見守るギジェルモ。
彼は亡くなったおばあちゃんのために歩いている。
ふたりきりの時、親友アントニオはギジェルモに将来のことを語る。
「僕は外国に行きたい・・・。語学をがんばんないとな。そうだな・・・パリなんかいいかな。
でも家は今経済的に大変なんだ。姉も大学に行っているし・・・。僕は奨学金がでる大学を選ぶよ。」
それを聞いたギジェルモの答えは「パリの女には気をつけなくっちゃならないね」と子供っぽい。
そんな彼が巡礼が終わるときに言った。
「さっき神様に頼んだよ、おばあちゃんのことをよろしくねって。
これからはおばあちゃんが僕の人生を見守ってくれるようになるんだね。」
ギジェルモ、友人たち、テレサ・・・みんなとたくさんの話をしながら歩いたアントニオ。
巡礼途中の友人たちとの会話の中で言う。「僕は将来、政治家になりたい。政治家って世の中を変えられるだろう?」
テレサもマリアもギジェルモも、アントニオの大人っぽい言葉にみんなは返す言葉がなかったみたいだった。
巡礼途中のインタビューではこんなことを言った。
「たくさん話すことで、みんなもいろいろな悩みを持っているんだということを、ひとりだけじゃないんだってことを知ったよ。友達って与える存在じゃなくて、分かち合う存在なんだね。」
そして、巡礼が終わったときのインタビューではこう言った。
「僕の悩みは将来のことだったことがわかった。たくさんのことを友人と話すことで、自分の道標がみえたよ。」
他にも、
親と一緒にバカンスを過ごしたくないから巡礼に参加したある男の子。
連絡を取るのが鬱陶しいから携帯電話を置いてきたけど、歩いているうちに家族のことばかり思う自分に気がついて、「次の宿泊地に着いたら公衆電話で連絡しようって思う」って、いい顔しながら言った。
歴史の勉強するために学校を変るつもりでいる男の子も、みんなに心の内を話したことでその意志がはっきりしたことだろう。
アンヘリカと友達になったファンは神様を信じていないと言う。「この巡礼で神様が本当にいるのかどうか知りたいんだ。」
巡礼が終わってインタビューを受けたとき彼はこう言った。
「巡礼が終わっても神様を信じてはいないけど、本当は自分を変えたかったのかもしれない。」
*****
サンチアゴ・ディ・コンポステーラの大聖堂に着いたら、みんな大聖堂の中に入って聖ヤコブの半身像を後ろから抱きかかえる。こうすると願いがかなうといわれているのだそうだ。
みんなは何を願ったのだろう・・・。
その後、巡礼者のためのミサが行われる。大香炉が左右に怖いほど大きく揺れるあの儀式のあるミサだ。
ミサの途中、司祭の携帯電話があ鳴るというハプニングがあった。
司祭はひとこと「天国からの伝言です」。笑
ホセ先生は言う、「巡礼が人生に光と希望を与えるのです」と。
巡礼者それぞれが、それぞれに歩く人にこう声をかける。
「buen camino! よい道行を!」
この言葉が私には、「いろいろあるだろうけど、ひとりじゃないよ。よい人生をね!」
と聞こえた。
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で、
気になる、アントニオのテレサへの気持ちはというと・・・。
「私を傷つけないように遠まわしに話すのはやめて。私も正直に話したから、あなたも正直に言ってほしい。」という言葉に、
始めは言葉を選んで曖昧な表現をしていたアントニオが言った。
「このまま平気で、君と遊びで付き合えない。君とは体だけの関係にはなりたくないんだ。」
「私はただ、前のように仲良くしたいだけなのよ・・・。」
「・・・でも、もう心からのキスをできない・・・」
次の日、巡礼を一緒に終えたテレサの言葉が、上のほうに書いた言葉です・・・
はぁ~、事実は小説より奇なり・・・ってこの場にふさわしい言葉かどうかは分からないけれど、アラフォーの私はどんな恋愛ドラマよりも心に響いたし悲しい気持ちになってしまった。しかし、おそるべしスペインの高校生。日本の高校生もそうなのか?高校生のときの私なんて、笑っちゃうほどお子ちゃまでしたからねぇ。・・・ふたりほどいた大人びたクラスメイト。彼女たちの大学生との恋愛話を別の世界の御伽噺のように聞いていましたから。ほんと、あの頃は彼女たちが西洋の物語のお姫様のように見えてました。まじで。笑
by latlante
| 2010-01-05 15:40
| チーズ&ワイン